事業の概要
- 電子部品の精密加工: 山王グループは、コネクタやスイッチなどの電子部品の製造を主な事業としています。具体的には、非常に精密なプレス加工、貴金属を使った表面処理、そしてプラスチックと金属を組み合わせるインサート成形加工を一貫して行い、顧客の求める品質、価格、納期に応えています。
- 精密プレス加工: 日本セグメントでは、主にコネクタメーカー向けに、ミクロン単位の精度で金型を設計・製作し、銅合金などの材料をプレスしてフープ成型品を生産しています。携帯機器の小型化に対応し、材料の厚さ0.05mm、ピン間隔0.25mmといった超精密な加工から、車載部品のような大型のものまで幅広く手掛けています。
- 表面処理加工: 日本とフィリピンのセグメントで、コネクタやICソケットなどの接点部品に、金めっきやパラジウムニッケル合金めっき、錫めっきなどを施しています。特に、必要な部分だけにめっきをするスポットめっきや、環境に配慮した鉛フリーはんだめっきを、リールtoリールという効率的な方法で行っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 日本セグメント: 日本国内での事業活動を指し、売上高は76億5,289万5千円、営業利益は5億886万4千円と、グループ全体の収益の大部分を占める主要な稼ぎ頭です。主にコネクタメーカー向けの精密プレス加工やインサート成形加工、表面処理加工を行っており、高度な技術力を活かした高付加価値製品を提供しています。
- フィリピンセグメント: フィリピンでの事業活動を指し、売上高は31億7,747万6千円、営業利益は2億4,331万4千円です。このセグメントは、貴金属表面処理加工を中心に展開しており、アジア地域の市場拡大に対応する生産拠点としての役割を担っています。海外需要の取り込みと生産能力の強化を目指しています。
- 事業構成と地域分散: 山王グループは、日本とフィリピンの2つの地域セグメントで事業を展開しています。日本セグメントが中心的な収益源である一方で、フィリピンセグメントは海外市場の成長を取り込むための重要な拠点となっています。これにより、特定の地域に依存しすぎない事業構造を構築し、リスク分散を図っています。
2025-07 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Japan | 地域 | 77 | 5 | 6.6% |
| Philippines | 事業 | 32 | 2 | 7.7% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社グループは、当社(株式会社山王)及び子会社2社(Sanno Philippines Manufacturing Corporation(以下SPMC)、Sanno Land Corporation(以下SLC))により構成されており、コネクタ・スイッチ等の電子部品の精密プレス加工及び金型製作、貴金属表面処理加工、インサート成形加工を主たる業務としております。 なお、精密プレス加工と貴金属表面処理加工とインサート成形加工を一貫して行う能力を有することで、得意先の求める品質・価格・納期の対応を行っております。 各工程の内容は次のとおりであります。 (1) 精密プレス加工工程 日本セグメントにおいて、顧客である主にコネクタメーカー(注1)より依頼を受けて、コネクタのプレス金型の設計・製作を行い、製作した金型を使ってプレス材料(主に銅合金を伸銅した条材)をプレス加工し、フープ成型品(連続したキャリア部分(注2)をもつプレス成型品)を生産しております。 携帯機器等の製品の小型化の要請に応え、現在プレス加工は、1,000分の1ミリメートルのレベルでの寸法管理を行っており、成型品の材料の厚さは0.05ミリメートル、ピッチ(ピン間隔)は0.25ミリメートルの製品まで金型の設計・製作及びプレス加工を行っております。一方小型化を優先しない部品として車載向け製品など、製品ピッチの大きい品物の加工も行っております。 (2) 表面処理加工工程 日本・フィリピンセグメントにおいて、コネクタ、スイッチ、ICソケット等の接点部品であるプレス成型品への高速金めっき加工、パラジウムニッケル合金めっき加工、錫めっき加工等を行っております。特に、精密部分金めっき加工(ニッケルバリア(注3)、スポットめっき(注4))や、環境対応の仕様として鉛を含まない半田(錫銅合金・純錫等)めっき加工を、リールtoリール(注5)により行っております。 なお、当社グループが精密プレス加工及び表面処理加工を行っている電子部品は、以下の用途に使用されております。 (3) インサート成形加工工程日本セグメントにおいて、インサート成形加工を中心とした精密プラスチック部品の製造を行っております。自社で金型設計・製作から成形生産までを一貫して対応しているため、工程間の連携が密にとれ、量産性や品質改善に向けたフィードバックを迅速に反映することができます。これにより、精密かつ複雑な形状のインサート成形品をはじめとする高付加価値製品の供給実績を有しております。区 分内 容パソコン関係デスクトップパソコン、ノートパソコン、プリンター等の周辺機器及び接続、配線機器携帯電話スマートフォン・タブレット端末・携帯電話の搭載品、バッテリー関係の周辺機器車載自動車の制御部分・計器類及びエアバッグ等、カーナビ装置等の機器類デジタル家電デジタルカメラ、デジタルテレビ、DVD等産業用機器工作機械、計測器、監視カメラ、産業用・工業用機器、半導体製造装置、サーバー等ゲーム機器パチンコ等アミューズメント機器、家庭用ゲーム機等カードカード用のソケット・メモリーカード等の記憶装置、ICカード等の機器その他基地局等の通信機、モバイル及び上記に分類されない機器・装置等(注) 1.電子部品の設計製造、販売を行っているメーカーです。2.帯状に連続したガイド部をキャリアと呼んでおります。これに一定間隔でプレス成型された端子が付いており、リールに巻き取って取り扱います。このガイド部を引き出すことにより、端子も繰り出され、連続で表面処理加工を行った後、再びリールに巻き取ります。3.電子機器の小型化により、コネクタ部品も小さくなり、半田付けで組み込む際に必要部分以上に半田が吸い上がってしまうのを防止する加工仕様の名称です。4.必要な部分にのみ、ピンポイントで金めっきを行う加工方法の名称です。5.金属コネクタにおいて、精密プレス加工を行いリールに巻き取った長い素材を繰り出して連続で表面処理加工を行った後、再びリールに巻き取り工程が終了する一連の加工方法をリールtoリールと呼んでおります。 以上述べた事項を系統図に示すと次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 原材料価格の上昇を販売価格に転嫁する努力をしているが、十分に反映できない場合があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 1,000分の1ミリメートルレベルの寸法管理や0.05ミリメートル厚の材料加工技術、精密部分金めっき加工。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:IT産業等の業界動向と顧客の内製化 / 為替変動の影響 / 技術開発と生産設備の急激な変化への対応
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
山王(3441)は金属製品メーカーであり、現時点で特筆すべきブランド力、特許、規制ライセンス、独占的IPといった無形資産に関する情報は確認できない。一般的な工業製品の製造・販売が中心と見られる。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
顧客は特定の仕様や品質を持つ金属部品を調達する際に、サプライヤー変更に伴う評価・検証コストや、既存サプライヤーとの関係性維持の観点から、一定のスイッチング・コストが発生する可能性がある。しかし、代替可能な部品も多く、乗り換え障壁は高くない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
山王の事業は、製品の利用者が増えることでその価値が増加するようなネットワーク効果を生み出すビジネスモデルではない。個々の顧客との取引が中心であり、プラットフォーム型ビジネスとは異なる。
コスト優位★★☆☆☆
金属加工における長年の経験やノウハウ、効率的な生産体制の構築により、一定のコスト競争力を有している可能性がある。ただし、原材料価格の変動や競合他社との比較において、構造的なコスト優位性が明確に示されているわけではない。
規模の経済★★★☆☆
金属製品業界において、山王は特定のニッチ市場や顧客層に特化することで、その規模に見合った効率的な事業運営を行っている可能性がある。業界全体で見た場合、大規模な寡占状態ではなく、特定の分野で一定の地位を確立していると考えられる。
- 一貫生産体制による強み: 山王グループは、精密プレス加工、貴金属表面処理加工、インサート成形加工という3つの主要工程を自社で一貫して行える能力を持っています。これにより、各工程間の連携が密になり、顧客の多様なニーズに対して、品質、価格、納期面で柔軟かつ迅速に対応できる点が大きな強みです。
- 超精密加工技術: 携帯機器の小型化に対応するため、1,000分の1ミリメートルレベルの寸法管理を行い、厚さ0.05ミリメートルの材料やピッチ0.25ミリメートルの製品のプレス加工が可能です。この高度な精密加工技術は、競合他社との差別化要因となり、高付加価値製品の提供を可能にしています。
- 多様な用途への対応力: 同社の電子部品は、パソコン、スマートフォン、車載機器、デジタル家電、産業用機器、ゲーム機器など、非常に幅広い分野で使用されています。これにより、特定の市場の変動リスクを分散し、安定した事業基盤を築いていると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営方針 当社グループが属する電子工業界におきましては、産業機器向け分野において、生成AIやデータセンター関連需要を背景に拡大基調が継続しており、自動車向け分野・通信関連分野においても概ね堅調に推移しました。また、自動車向けADAS関連、半導体関連、AIサーバー関連等の拡大などを背景に、電子部品の需要は今後さらに大きく成長するものと考えられ、中長期的な成長が期待されております。このような状況のもと当社グループは先端製品分野を中心に受注拡大を図るとともに、成長戦略への取り組み、従業員エンゲージメントの向上を主要戦略として掲げ、当社グループ一丸で推進してまいります。また今後の成長領域と考える自動車向け分野、通信向け分野、産業機器向け分野への設備投資を継続し、安定した収益基盤の確保に加え、新規の事業領域を開拓することで、経営体質強化に向けた取り組みを行ってまいります。 当社グループはグローバル社会における様々な課題解決への貢献が不可欠と認識し、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環として、再生可能エネルギーの導入を推進しています。2023年度に東北事業部に太陽光パネル、蓄電池システムを設置し、エネルギーマネジメントシステムを導入致しました。また、CO₂を排出しない発電方法による非化石電源の活用も併せて行うことで、東北事業部において再生エネルギー100%を達成しました。国際的な基準であるGHGプロトコルにてScope1、2、3の算定を完了し、これまでの取り組みの結果、2030年までに2017年比CO₂排出量50%削減という目標を、前倒しで達成することができました。 (2)目標とする経営指標 当社グループは、「受注拡大」「収益改善」「生産設備拡充」「カーボンニュートラルに向けた取り組み」「工場増強と働く環境の整備」「人事と教育の強化」を進め、当連結会計年度の売上高は15,531百万円(前年同期比 43.4%増)、営業利益は1,315百万円(前年同期比65.2%増)、経常利益は1,319百万円(前年同期比63.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,181百万円(前年同期比54.3%増)となりました。次期連結業績としましては、連結売上高15,600百万円、営業利益800百万円、経常利益815百万円の達成を目指してまいります。 (3)経営環境 足元の市場環境は、中東やウクライナをめぐる情勢の緊迫化、欧州や中国経済の景気停滞、米国経済のインフレ懸念など、先行き不透明な状況が続いております。当社グループの属する電子工業界においては、自動車向け分野における電子部品需要や、AI関連需要により設備投資の拡大が期待される一方、地政学リスクの影響から原材料価格の上昇や、インフレや為替変動などによる生産コストの増加リスクが存在しております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループを取り巻く経済環境は、地政学リスクによる影響や、欧州・中国経済の景気停滞についての懸念など、先行き不透明な状況が続くことが想定されます。電子工業界においては、引き続き電子部品生産や設備投資の拡大が期待される一方、地政学リスクの影響から原材料価格の上昇や、インフレや為替変動などによる生産コストの増加リスクが存在しております。このような状況のもと当社グループは、受注拡大、生産能力増強、新規事業の創出、カーボンニュートラルに向けた取り組み、働く環境整備を進めるなど経営体質改善に向けた取り組みを行っております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営方針 当社グループが属する電子工業界におきましては、産業機器向け分野において、生成AIやデータセンター関連需要を背景に拡大基調が継続しており、自動車向け分野・通信関連分野においても概ね堅調に推移しました。また、自動車向けADAS関連、半導体関連、AIサーバー関連等の拡大などを背景に、電子部品の需要は今後さらに大きく成長するものと考えられ、中長期的な成長が期待されております。このような状況のもと当社グループは先端製品分野を中心に受注拡大を図るとともに、成長戦略への取り組み、従業員エンゲージメントの向上を主要戦略として掲げ、当社グループ一丸で推進してまいります。また今後の成長領域と考える自動車向け分野、通信向け分野、産業機器向け分野への設備投資を継続し、安定した収益基盤の確保に加え、新規の事業領域を開拓することで、経営体質強化に向けた取り組みを行ってまいります。 当社グループはグローバル社会における様々な課題解決への貢献が不可欠と認識し、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環として、再生可能エネルギーの導入を推進しています。2023年度に東北事業部に太陽光パネル、蓄電池システムを設置し、エネルギーマネジメントシステムを導入致しました。また、CO₂を排出しない発電方法による非化石電源の活用も併せて行うことで、東北事業部において再生エネルギー100%を達成しました。国際的な基準であるGHGプロトコルにてScope1、2、3の算定を完了し、これまでの取り組みの結果、2030年までに2017年比CO₂排出量50%削減という目標を、前倒しで達成することができました。 (2)目標とする経営指標 当社グループは、「受注拡大」「収益改善」「生産設備拡充」「カーボンニュートラルに向けた取り組み」「工場増強と働く環境の整備」「人事と教育の強化」を進め、当連結会計年度の売上高は15,531百万円(前年同期比 43.4%増)、営業利益は1,315百万円(前年同期比65.2%増)、経常利益は1,319百万円(前年同期比63.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,181百万円(前年同期比54.3%増)となりました。次期連結業績としましては、連結売上高15,600百万円、営業利益800百万円、経常利益815百万円の達成を目指してまいります。 (3)経営環境 足元の市場環境は、中東やウクライナをめぐる情勢の緊迫化、欧州や中国経済の景気停滞、米国経済のインフレ懸念など、先行き不透明な状況が続いております。当社グループの属する電子工業界においては、自動車向け分野における電子部品需要や、AI関連需要により設備投資の拡大が期待される一方、地政学リスクの影響から原材料価格の上昇や、インフレや為替変動などによる生産コストの増加リスクが存在しております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループを取り巻く経済環境は、地政学リスクによる影響や、欧州・中国経済の景気停滞についての懸念など、先行き不透明な状況が続くことが想定されます。電子工業界においては、引き続き電子部品生産や設備投資の拡大が期待される一方、地政学リスクの影響から原材料価格の上昇や、インフレや為替変動などによる生産コストの増加リスクが存在しております。このような状況のもと当社グループは、受注拡大、生産能力増強、新規事業の創出、カーボンニュートラルに向けた取り組み、働く環境整備を進めるなど経営体質改善に向けた取り組みを行っております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績の状況 当連結会計年度における世界経済におきましては、中東情勢をはじめとする地政学リスクの影響が長期化する懸念があるものの、アメリカでは、AI関連投資やデータセンターなどの設備投資が下支えとなり底堅い景気が続きました。一方で、欧州では、エネルギー価格の高騰や製造業の停滞などが見られ、いまだ景気回復としては力強さに欠けており、中国では、不動産市況の調整、個人消費や設備投資など内需の回復は鈍く、依然として景気は低調に推移しております。 我が国経済におきましては、個人消費やAI関連需要による設備投資などを中心に堅調さがみられたものの、地政学リスクの上昇、原材料の高騰など製造業を取り巻く環境の不透明感は高まっています。 当社グループが属する電子工業界では、産業機器向け分野において、生成AIやデータセンター関連需要を背景に拡大基調が継続しており、自動車向け分野・通信関連分野においても概ね堅調に推移しました。 このような状況のもと当社グループは、自動車用ADAS関連、半導体関連、AIサーバー関連、データセンター等の設備関連、スマートフォンなど先端製品分野を中心とした成長領域への受注拡大を図るとともに、原材料価格等のコストの増加に対する適切な価格への見直しを進め、収益基盤の強化に努めました。 また、めっき新ラインの稼働をはじめとした生産能力増強および品質安定化の設備投資を進めるとともに、プレス、めっき、インサート成形の一貫受注体制を強化し、付加価値の最大化を推進いたしました。さらに、微細めっき技術および金型製造技術の高度化・製造工程の自動化・効率化に取り組み、生産性向上と競争力強化を行いました。 この結果、当連結会計年度の売上高は15,531百万円(前年同期比 43.4%増)、営業利益は1,315百万円(前年同期比65.2%増)、経常利益は1,319百万円(前年同期比63.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,181百万円(前年同期比54.3%増)となりました。 なお、セグメント毎の経営成績は次のとおりであります。 ① 日本当連結会計年度は、産業機器向け分野において生成AIデータセンター関連需要を背景に受注が好調に推移したことに加え、自動車向け分野においてはADAS関連需要の拡大、通信関連部門において、PC、タブレット向けなど順調に推移するなど、各分野での需要増加が継続しました。この結果、売上高は11,590百万円(前年同期比50.3%増)、営業利益は927百万円(前年同期比82.3%増)となりました。 ② フィリピン当連結会計年度は、自動車向け分野を中心とした受注が堅調に推移し増収増益となりました。この結果、売上高は4,062百万円(前年同期比27.9%増)、営業利益は364百万円(前年同期比49.8%増)となりました。 (2)財政状態の状況 当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金が499百万円、電子記録債権が303百万円減少したものの、売掛金が480百万円、原材料及び貯蔵品が841百万円、有形固定資産その他(純額)が209百万円、投資有価証券が111百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ933百万円増加し、13,785百万円となりました(前連結会計年度末は12,851百万円)。 負債は、買掛金が122百万円、流動負債その他が287百万円増加したものの、短期借入金が450百万円、長期借入金が358百万円減少したことなどから、前連結会計年度末と比べ348百万円減少し、5,747百万円となりました(前連結会計年度末は6,096百万円)。 また純資産は、自己株式が189百万円増加したものの、利益剰余金が1,087百万円、為替換算調整勘定が301百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ1,282百万円増加し、8,038百万円となりました(前連結会計年度末は6,755百万円)。 (3)キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末と比較して633百万円減少し、2,304百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,144百万円の増加(前年同期は461百万円の増加)となりました。これは主に棚卸資産の増加が866百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が1,319百万円、減価償却費が492百万円、未払費用の増加が257百万円あったことなどによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、693百万円の減少(前年同期は28百万円の増加)となりました。これは主に定期預金の払戻しによる収入が1,519百万円あったものの、定期預金預け入れによる支出が1,584百万円、有形固定資産の取得による支出が610百万円あったことなどによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,183百万円の減少(前年同期は35百万円の減少)となりました。これは主に短期借入金の減少が450百万円、長期借入金の返済による支出が360百万円、自己株式の取得による支出が200百万円あったことなどによるものであります。 (4)生産、受注及び販売の実績① 生産実績 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(千円) 前年同期比(%)日本11,668,506148.9フィリピン3,724,300121.6合計15,392,806141.2(注)金額は販売価格によっております。 ② 受注実績 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)日本12,704,604151.61,320,840166.2フィリピン3,899,273122.815,06855.2合計16,603,877143.71,335,908162.6(注)金額は販売価格によっております。 ③ 販売実績 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)日本11,468,193149.9フィリピン4,062,948127.9合計15,531,141143.4(注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。 相手先前連結会計年度(自 2024年8月1日 至 2025年7月31日)当連結会計年度(自 2025年8月1日 至 2026年7月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)JAE Philippines Inc.2,245,31320.72,922,15318.8㈱鈴木1,177,72610.9——(注)1.㈱鈴木の当連結会計年度における販売実績の総販売実績に対する割合は100分の10未満ですので、その記載を行っておりません。 (5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。 ① 財政状態の分析「(2) 財政状態の状況」に記載のとおりであります。 ② 経営成績の分析「(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。このような状況のもと、当社グループは、民生用機器向け分野の回復や通信向け分野での次世代高速通信開発、自動車部品の受注拡大に向け東北事業部での新ライン増強を進めるなど積極的な設備投資を実施し、一層の受注拡大に努めてまいります。 ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の詳細につきましては、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 資本の財源及び資金の流動性当社グループの資金需要のうち主なものは、貴金属表面処理加工工程を中心とした国内同工程の生産性向上を目的とする設備増強であります。また、当社グループが使用する主材料のうちシアン化金カリウムは高価であることから、調達コストを抑えるため現金購入を行っておりますが、主材料購入が主要な資金需要の一部分になっております。上記の資金需要に対応するため、当社グループは取引金融機関から資金調達を行っております。 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間に収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行い、提出日現在において判断したものであり、将来に関しては不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
事業リスク
- IT産業の動向と内製化: 山王グループの主要製品はIT産業の動向に大きく左右される電子部品であり、主にコネクタメーカーからの受注に依存しています。近年、多くのコネクタメーカーがコスト削減や開発スピードアップのため、プレス加工や表面処理加工を自社で内製する動きを強めており、これが同グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 為替変動の影響: フィリピンに海外子会社を持ち、主にドル建てで決済を行っているため、為替相場の変動がグループ全体の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。また、国内取引先の生産拠点が海外に移管されることで、日本国内での円建て取引が減少し、間接的に業績に影響が出る可能性も指摘されています。
- 法的規制と環境問題: 表面処理工程で「毒物及び劇物取締法」の対象となる薬品を使用し、廃液には「水質汚濁防止法」などの規制対象物質が含まれるため、法改正による規制強化や環境基準の変更があった場合、対応に多大な費用と時間を要する可能性があります。特に、土壌汚染関連法令に基づく調査や対策が必要になった場合、費用負担が発生するリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)IT産業等の業界動向が当社の業績に与える影響について当社グループの主要製品はIT産業等の動向に影響を受けやすい電子部品等の材料となるプレス加工品及び表面処理品であり、主にコネクタメーカーからの受注加工となっております。近年多くのコネクタメーカーにおいて、コスト低減、開発のスピードアップ、社内稼働率の維持向上や収益の外部流出防止等を目的に、プレス加工及び表面処理加工を国内及び海外グループ会社の内製部門へ取り込む動きが強まっております。この内製化の進展が、IT産業の業界動向以上に進んだ場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)為替変動の影響について当社グループは、今後もマーケットの拡大が期待されるアジア地域(フィリピン)に海外子会社を有しております。海外子会社は主としてドル建てで決済しておりますが、海外での取引規模が拡大し、当社グループ内に占める子会社の売上、利益の割合が増加した場合、今後も為替相場の変動が当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。また、当社グループは日本国内においてはその取引のほとんどが日本国内のコネクタメーカーとの円建て取引となっており、直接的な為替の影響は受けないものの、国内取引先の生産拠点の海外移管等がさらに進んだ場合には国内での円建て取引が減少する事により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (3)技術開発、生産設備の開発・新設について当社グループが属する電子工業界は、世界市場の中で日進月歩絶えず進化を遂げており、製品動向や環境対応基準等を含めた情報の変化にスピーディーに対応することは、経営上重要な要素であります。現在、営業情報等をもとに市場のニーズに応えるべく技術開発をいち早く行い、現有設備への展開や設備の新設を行っておりますが、当社グループが保有する生産設備は自社での設計・製作を基本としているため、製品動向に急激な変化(形状や材質、使用原材料等)が生じた場合、研究開発、設備の設計・製作に時間を要することから生産に支障を来す可能性があり、その結果当社グループの業務運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (4)法的規制等について当社グループは、表面処理の工程内で「毒物及び劇物取締法」の対象となる薬品を使用しており、また工程より排出される廃液等には「水質汚濁防止法」「大気汚染防止法」「土壌汚染対策法」等の対象となる重金属イオン等が極微量含まれており、それぞれ同法の規制を受けております。当社グループでは、各種届出及び有資格者の下での管理を徹底するとともに、法的規制値より更に厳しい社内基準値を設けて廃液等を管理し、可能な限りのリサイクルを行い法令遵守に努めております。しかしながら、法改正等により規制が強化され、当社グループの工程内で対象となる薬品の使用が禁止又は使用制限された場合、廃液等の廃棄物の排出基準が変わり処理設備の大幅な改造の必要が生じた場合や、自然災害等による設備の崩壊により敷地内汚染が発生した場合には、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (5)環境問題対応について当社グループが属する電子工業界では、「鉛フリー」や「脱塩素溶剤」等の問題を抱えておりますが、環境問題に対し様々な対策が講じられております。当社グループにおきましては、表面処理加工法の改良をもって対処しておりますが、今後代替物や新技法等が開発された場合、設備移行に多大な費用と時間を要する可能性があります。また、国内では「ノンシアン」による表面処理要請が強くなってきており、今後水質・大気等排出基準の強化が法的に進められた場合、その対応に多大な費用と時間を要する可能性があります。 (6)土壌汚染について土壌汚染対策法や、各自治体における生活環境の保全等に関する条例等(以下、総称して「土壌汚染関連法令」という。)によれば、土地の所有者、管理者又は占有者は、六価クロム、鉛、塩素、トリクロロエチレンその他特定有害物質による土地の土壌汚染の状況について調査し、都道府県知事に報告を行わなければならない場合があります。また、特定有害物質による土壌の汚染により、人の健康にかかる被害が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、都道府県知事によりその被害を防止するため必要な手段をとる必要がある場合があります。上記の制度を前提にした場合、当社の保有する本社地区の敷地内の一部において、当社が業務上使用していない特定有害物質に関して、これまでに基準値を上回る測定結果が断続的に確認されております。発生源で対策を講じており、現時点において、当社において何らかの対策を行う必要はないものの、将来当社が同工場用地を売却したり、同工場施設の使用を廃止する場合等に、土壌汚染関連法令に基づく調査を実施しなければならない可能性があります。なお、当該調査において土壌汚染関連法令に定める基準値を超える汚染土壌が確認された場合は、かかる有害物質を除去するために土壌汚染関連法令に基づく汚染土壌の入れ替えや洗浄などの処理が必要となり、その対応に費用と時間を要する可能性があります。 (7)知的財産権等について当社グループでは、加工プロセスに係わる技術開発が多くありますが、出願公告を行うことによりノウハウの社外流出に結びつく恐れが多分にあると考えているため、特許権・実用新案権の取得を積極的には行わない方針です。このため、他社が当社の開発した技術にかかる特許を取得した場合は、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループにおいては、他社の知的財産権等の侵害を防止するため、必要と考えられる社員への教育や関連文献の調査、弁理士等専門家への相談を行う処置を講じておりますが、かかる処置にもかかわらず、他社の知的財産権を侵害してしまった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。 (8)政情不安が与える影響について当社グループは貴金属表面処理事業において海外需要の高まりから、フィリピンに生産拠点を有しております。今後、日本メーカーの海外移管の促進等により当社グループ内での海外生産高シェアも増加していくものと考えております。しかし、アジア諸国の一部では政情不安等がもたらす影響も懸念され、また、法令や政策、規制、税制等の変更が行われた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。 (9)主要原材料の価格変動について当社グループの主要事業である表面処理加工並びにプレス加工において、主要原材料としてそれぞれ「シアン化金カリウム」と「銅平板材」が使用されております。シアン化金カリウムは金を68.3%含有しており、プレス原材料は銅など、それぞれ国際的な取引市場での市況により価格が左右されます。当社グループでは顧客からの受注の中で原材料価格の上昇を販売価格に転嫁するよう努力しているものの、金並びに銅の市場価格の変動が当社グループの予想を超えた場合など単価に十分に反映できないような場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (10)人材の確保について当社グループは、経営環境の急激な変化に対応してコスト構造の抜本的な見直しを行い、経費削減に努めてまいりました。しかし、顧客の内製化の推進や海外グループ会社への生産移管などが進んでおり、経営環境の変化に対応した更なる収益体質への変革を進めております。表面処理加工及びプレス加工の作業は自動化及びマニュアル化による標準作業ができる状況にありますが、微細加工技術を追求した加工方法の、ニッケルバリア、スポットめっき等については、その加工設定などにおいて人に依存する割合が高い部分もあり、標準化体制を整えるべく推進しております。しかしその体制構築に時間を要しており、品質を支える技能者の確保、技能の伝承は不可欠な状況です。今後技能者の退職というような事態が生じた場合には、生産に支障を来し当社グループの業務運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (11)事故災害等による影響について当社グループは国内において関東及び南東北に生産拠点を有し、また海外においてはフィリピンに拠点を設け、市場動向に合致した最適地生産活動と、生産拠点分散による各種事故や災害発生から被る影響を最小限に抑える対策を講じております。 当社は、東北工場(現東北事業部:福島県郡山市・西部第二工業団地内)において、火災および汚染水河川流出事故を発生させた経緯があります。この経験を生かし社内防火教育訓練や予防対策をはじめリスク管理体制には万全を期して対処しておりますが、今後同様の事故が発生した場合や地震等自然災害による製造設備や処理プラントの被害状況によっては、対処や復旧作業に多大な時間と費用を要する場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。